独立成功事例 SUCCESS
29年間、大手製薬会社勤務からのキャリアチェンジ
1987年 東京薬科大学卒業
大手製薬会社や薬局での勤務を経て
2018年 チェルシー薬局を事業承継にて開局
株式会社チェルシー(チェルシー薬局)代表取締役 髙橋 津永さん
MRを含めた営業職として29年間勤めていたとのことですが、なぜ薬剤師にキャリアチェンジされたのでしょうか?
営業職の29年間でMR14年、学術6年、その後マネージャー職を9年経験しました。十分に会社員として職務を全うしましたし、そのまま働いていても60歳で退職になってしまうので、それならちょっと違う道を目指そうかなと思いました。
自分で言うのも何なのですが、一番得意なことは人をマネジメントすることだと思っています。薬剤師資格という武器があり、得意とする人員のマネジメントができる……その両方を活かすことができるのが薬局経営でした。
そのためには、薬剤師としての勤務経験は必須だと思い、製薬会社を退職後は2年間調剤薬局で薬剤師として勤務しました。複数の店舗で処方科目も違う環境で勉強させていただけたので、ある程度スキルが身に着いて自信も持てるようになりました。また患者様の健康相談を受けるためには、漢方やサプリメントの知識が役立つと気付き、「漢方薬・生薬認定薬剤師」と「NR・サプリメントアドバイザー」の資格を取得しました。
MR出身の独立希望の方は、調剤経験の有無や経験年数を気にされる方が多い気がします。髙橋様は2年間の調剤経験で十分だと思いますか?
私は調剤薬局で調剤の経験を積んだうえで独立しましたが、MR退職後、調剤未経験で開業した後輩もいるので、状況次第ですが経験が無くても不可能ではないと思います。門前の処方せんだけを応需するつもりであれば、それほど長く経験しなくても大丈夫かもしれませんが、面での処方せんに対応するつもりであれば、最低でも2年くらいの調剤経験は必要になってくるかと思います。
薬剤師として勤務しながら、独立開業に向けてどのようなことをされていましたか?
勤務している2年間で自分なりにリサーチし、関わりのある卸業者から医師情報を入手したり、院内処方されているクリニックに営業を仕掛けるなど、常に可能性を見つけるためにさまざまなアクションを起こしました。いろいろなセミナーにも積極的に参加、ユニヴの主催する「薬膳セミナー」や「在宅セミナー」にも参加しました。その際にユニヴが独立開業支援をしていることを知ったので、その流れで譲渡先を紹介していただきました。
開業準備中に何か不安に感じられたことはありましたか?
大きな不安はありませんでしたが、経営者の仕事として関係各所へのさまざまな申請や決めるべきことがたくさんあり、どれも初めて経験することばかりのため、多少不安に感じることはありました。
税理士はネットで一番手頃な顧問料金のところを選びましたが、手頃なだけあってか最低限の業務しか行ってくれず、十分に満足できるものではありませんでした。今後業務規模を拡大する際は、見直しも検討しようと考えています。 決算書を見る際、数字の見方に慣れておくことは重要です。これから独立される方は経理や簿記の勉強はしておいた方がいいと思います。
ホームページも取り扱われている医薬品の特徴や値段が明記されていたり、電子おくすり手帳やオンライン服薬指導の案内があったり、ユーザー目線で素敵だと思いました。
開局時から電子おくすり手帳を強力に推進しており、現在、登録者数は全国トップレベルになっていると自負しています。この電子おくすり手帳の良いところは、アプリからQRコードや写真で処方せんが送れることです。いわゆる調剤予約ですが、これに加えて、現在LINEやFAXも活用して進めています。
コロナの影響で接触を好まない方が増えている中、門前の処方せんだけに頼らずこのようなツールを活用することで受付枚数も順調に伸びています。門前集中率も開局当初9割以上であったのが、今では6割ほどになっています。
ホームページは、多少費用がかかりましたが、おおむね満足のいくものが作成できました。この飛び道具を仕掛けることで、実際面での処方せんも増えており、地域の患者様にしっかりアピールできていると感じています。また、店頭に電光掲示板を設置してサービス内容をアピールしたり、駅の地図広告、バスの車内放送広告、地域の回覧板などに積極的に出稿し、知名度アップに努めています。
週4日23時までと遅くまで開局されていますが、髙橋さんと事務員の方々が勤務されているのでしょうか?
はい。薬剤師は私がフルで勤務していますが、加えて週に1~2回数名の薬剤師に非常勤勤務をしてもらっています。今後の店舗展開や私の店舗不在時の対応のことも考えて、勤務してもらう時間を少しずつ増やしていこうかなと思っています。事務スタッフも10名以上在籍していて、朝・昼・夕の時間帯や曜日限定の希望なども配慮したうえでシフトを組んでおり、幅広い年代の方に働いていただいています。
スタッフの方のモチベーションをあげるために「評価シート」を作っています。3ヶ月毎に、“患者対応マナー”や“調剤事務技能”を評価し点数を付けています。点数が上がれば、途中から入った方でもどんどん時給を上げています。そうすることで全体のスキルアップにもつながりますし、何より患者様からの評価も上がり、そのおかげで処方せん枚数も伸びています。
“かかりつけ薬局を超えた「お気に入り」薬局”を目指していらっしゃいますが、どのような意味を込めて謳われているのでしょうか?
“かかりつけ薬局のもっと上をいく”という意味です。単に要件クリアを目指して「かかりつけ薬局」という看板のみを掲げているのではなく、それ以上の対応をしていますよ、という思いを込めています。現に、当薬局は夜間も営業していることもあり、他の薬局が閉まった後も一般の方からよくお薬相談の電話がかかってきますし、当薬局をかかりつけ薬局として利用してくださっている患者様には、365日24時間の電話対応を行っています。
また、薬局内にはOTC医薬品や一般品も扱っていますが、品目が少ない代わりに薬局製剤を作っています。この取り組みも、地域の患者様の健康管理のお手伝いと、地域の健康ステーションになろうという思いで始めました。サプリメントや漢方も扱っています。病気のときだけでなく健康時や未病時(発症前の軽い症状がある状態)においても相談いただける薬局づくりを目指しています。
独立されて良かったと思うこと、反対に苦労したことを教えてください。
良かったことは、全てが自らの判断で物事が決まり、それが結果に直結することです。これがやりがいにつながっています。ただ今は、後ろは振り向かず前だけを見続けて走っている状態なので、本当に良かったかどうかはもう少し先に評価したいと思います。
苦労したことは……日々わくわくしながらやっているので、あまり苦労に感じてないかもしれませんが(笑)、処方せんの数が増えてきていて、従業員の給料計算やさまざまな申請なども自身で行っているため、業務量自体が増えてきており少しだけ苦心しています。
今後のチェルシー薬局の展望を教えてください。
まず短期的には、現在の店舗において、門前集中率5割以下を目指します。
そして、いずれは店舗を増やしていきたいと思っていますが、そのためには経営者目線で店舗を運営してくれるパートナーが必要と考えます。
雇われている立場だと、たとえ管理薬剤師であっても開設者の思いは伝わりきらないと勤務薬剤師として勤めていたときに感じました。
しっかり思いが通じている人と一緒にタッグを組む必要があると感じています。
そして、その人と円滑な協力体制を取りながら、どのタイミングで動くか見極めることが課題でしょうか。
独立したいとお考えの方も増えていますが、ご自身の経験を踏まえたうえでお伝えしたいことはありますか?
独立を考えたときに、案件や条件に魅力を感じた時点で前進すれば良いと思います。私も、この店舗なら独立してもいいのではないかと思い決断しました。「これだ」と思ったときの勘を大事にしたらいいのではないかなと思います。
若い方にとって独立はある意味ギャンブルみたいなところもありますし、資金面を一番ネックに感じられる方も多いと思います。ただ、その先の人生が長いので、いろんなことにチャレンジできる可能性があります。私と同じくらい年を重ねた方にとっては、開局資金はあるかもしれませんがその先いろんなチャンスに挑戦できる時間は長くはないので、やると思ったらそれに突き進むしかないと思います。
門前の処方せんをある程度確保して薬局運営の基礎を固めることは大事です。ですがそれだけに満足せず、薬局周辺にどれだけ住民の方が居るかをリサーチし、その地域の患者様を取り込むことできればさらに幅が広がりますので、意識してみてはいかがでしょうか。
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株式会社チェルシー(チェルシー薬局)
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株式会社チェルシー(チェルシー薬局)
代表取締役 髙橋 津永さん
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