事業譲渡と株式譲渡の違いとは BASIC
- 事業譲渡
- 株式譲渡
薬局をM&Aして、独立開局する場合「事業譲渡」と「株式譲渡」という主な2つの方法があります。
共に“薬局をM&Aで買う”という点においては違いは無いのですが、多数の差があります。それぞれの違いを解説します。
事業譲渡
一般的に薬剤師の方が独立開業される場合は事業譲渡を選択する場合が多いです。
不要な資産を引き継いでしまうリスクがない点が大きなメリットです。
概要SUMMARY
“事業譲渡”は特定の薬局店舗を切り出して、買い手に譲渡する、という方法です。
株式を保有している会社自体の株式保有数には影響を与えません。
つまり、譲渡する薬局店舗を除く、“残った薬局店舗+その他”はそのまま現在の会社に残る事になります。
また事業譲渡には以下の特徴があります。
- 既存従業員の継続雇用が必須ではない
- 資産(マンション等)や、現金(借入金等も含む)、簿外債務は引き継がない
理解しておきたいポイントPOINT
何を引き継ぎ、引き継がないのかを売却先とチェックしていく項目が多く、かなり煩雑な作業が発生します。その為、一般企業では事業譲渡を行う事はあまり多くはありません。
ですが薬局の事業譲渡の場合、『固定資産は何を引き継ぐか?』といったような項目が主なチェック項目となり、比較的シンプルな為、事業譲渡に向いていると言えます。
ただし運営会社が変更となるため、薬局の許認可の取得は再度必要となります。
自治体により多少の差はありますが、保健所への申請等が必要となる為、開局までには概ね2~3カ月程度は要すものとご理解ください。
また人材の継続雇用をする際には、再契約が必要となります。
事業譲渡についてのまとめ
- 薬局M&Aで独立する薬剤師の多くが事業譲渡を選択する
- 譲渡する薬局店舗以外には、資産など含め何も引き継がない
- 従業員の雇用は継続する必要は無い
- 許認可は再度取得する必要がある
- 不要な資産を引き継がない事は大きなメリット
株式譲渡
“株式譲渡”は、事業譲渡と異なり、その会社が保有する全てが対象の範囲となります。
概要SUMMARY
単純に言えば『この薬局の店舗だけ・この資産だけが欲しい』という事が出来ないという事です。
対外的には、株主が変わっただけの為、既存従業員は継続雇用しなければなりませんし、資産も借入金も引き継がなければなりません。
また、株式譲渡には以下の特徴があります。
- 許認可の取得が不要
- 継続雇用の場合の再契約も不要
理解しておきたいポイントPOINT
薬剤師様が独立される場合の大半は、ご自身が勤務する為に継続雇用を不要とされる場合が多いです。
また、各資産等の精査にも時間と労力・知識を要する為、薬剤師の方が独立される場合は“株式譲渡”ではなく“事業譲渡”を選択される傾向にあります。
懸念事項として、簿外債務も引き継がなければならない、という点には注意が必要です。
簿外債務の一例に以下のようなパターンが挙げられます。
- 未払い賞与
- 残業代未払金
当社が保有する情報は全て開示いたしますが、“引き継いだ人が全てを引き継ぐ”事になりますので、事業譲渡に比べ多少なりリスクがある方法です。
株式譲渡についてのまとめ
- 不要な店舗や資産・簿外債務などを含めて全てを引き継がなければならない
- 人材は継続雇用が必要
- 許認可の取得は不要